
物流業界における人手不足の原因と4つの対策
※2024年2月16日更新
物流は、私たちの生活や経済を支える重要な社会インフラです。
しかし、EC市場の拡大による宅配便の増加やトラックドライバーの労働環境に関する問題などによって人手不足が深刻化しており、現場への負荷を招いています。
また、このような物流現場の負荷は、トラックドライバーだけでなく倉庫内で積み荷や仕分けを行う従業員にも及んでいます。持続可能な物流を実現するには、物流事業者全体で効率化・生産性向上を図るための取り組みが求められます。
この記事では、物流業界の現状や人手不足が起こる原因、物流事業者による人手不足対策などを詳しく解説します。
物流業界の現状
物流業界では、宅配便の需要増加や離職率の増加などによって深刻な人手不足が起きており、重要な社会問題の一つとなっています。
ECの拡大によって宅配便の需要が増加している
近年、インターネットを利用したEC(通信販売)の拡大によって宅配便の取り扱い個数が増加しています。
一昔前までは、実際に店舗へ足を運び、品物を購入するのが当たり前とされていましたが、最近ではオンラインショップで簡単に購入できるようになりました。
国土交通省によると、2010年度に約32.2億個だった宅配品の取り扱い個数は、2022年度には約50.6億個となり、5割以上の急速な増加が見られています。
▼宅配便の取り扱い個数の推移
画像引用元:国土交通省『宅配便の再配達削減に向けて』
また、宅配便全体の約99.9%がトラック輸送を占めており、トラックドライバーの労働力も必要とされています。
このような宅配便の需要増加によって、トラックドライバーや倉庫で働く人材が不足して円滑な物流に影響を及ぼしたり、一人ひとりの業務負担が大きくなったりすることが懸念されます。
出典:国土交通省『宅配便の再配達削減に向けて』『令和4年度 宅配便・メール便取扱実績について』
運輸業は入職率よりも離職率が上回っている
厚生労働省による2022年度の雇用動向調査では、運輸業・郵便業の入職率が10.2%なのに対して、離職率は12.3%という結果が出ており、入職率よりも離職率が上回っています。
▼2022年度における産業別の入職率・離職率
画像引用元:厚生労働省『令和4年雇用動向調査結果の概況』
また、2022年の一般職業紹介状況によると、職業全体での有効求人倍率が1.31なのに対して、“自動車運転の職業”は2.65、“運搬の職業”は1.50という結果が見られました。
物流に関わる職業は、職業全体と比べて有効求人倍率が高くなっており、求職者数を上回る求人数があることから、人手不足感が強くなっていると分かります。
出典:厚生労働省『令和4年雇用動向調査結果の概況』『一般職業紹介状況(令和4年12月分及び令和4年分)について 参考統計表』
物流業界で人手不足が起こる原因
物流業界で人手不足が起こる原因には、労働環境や待遇、職場へのネガティブなイメージなどが関係していると考えられます。
長時間労働
物流業界では、ドライバーによる長時間の運転や発着荷主での荷待ち時間、倉庫内の荷役作業などによって長時間労働が起きやすくなっています。
なかでもトラック運送事業では、労働時間が全産業の平均と比べて約2割長くなっています。
▼全産業とトラック運送事業の労働時間
画像引用元:国土交通省『我が国の物流の革新に向けた取組みの動向』
このような慢性的な長時間労働は、トラックドライバーや倉庫内作業を担う従業員の心身への負担を招きかねないほか、離職につながる可能性も考えられます。
さらに2024年4月1日からは、働き方改革関連法に基づいて自動車運転業務の時間外労働についても上限規制が適用されます。上限規制の適用によって物流に及ぼす諸問題のことを“2024年問題”といいます。
▼主な改正内容(自動車の運転業務)
画像引用元:国土交通省『我が国の物流の革新に向けた取組みの動向』
トラックドライバーの働く時間が削減されると、輸送能力が不足して物流の停滞につながる可能性があるため、人手不足への対策が求められます。
出典:国土交通省『我が国の物流の革新に向けた取組みの動向』
賃金の低さ
物流業界の人手不足を招く原因の一つに、賃金の低さが挙げられます。
トラックドライバーの年収は、全産業の平均年収に対して5~15%(20~60万円)ほど低い金額となっています。
▼トラックドライバーの年間所得額の推移
画像引用元:国土交通省『我が国の物流の革新に向けた取組みの動向』
2024年4月1日から時間外労働の上限規制が適用になると、トラックドライバーの収入が減少すると考えられます。生活への影響を懸念して離職するトラックドライバーが現れると、さらに人手不足が深刻化する可能性があります。
出典:国土交通省『我が国の物流の革新に向けた取組みの動向』
労働環境のイメージ
物流業界では、労働環境に対してネガティブなイメージを持つ人も少なくありません。例えば、「人材が足りずドライバーの負担が大きい」「待遇がよくない」「長距離運転や荷積み・荷下ろしが重労働できつい」などの印象があります。
また、労働環境そのものだけでなく、「男性社会で女性が活躍できない」といったイメージを持つ方もいます。実際に物流業界における女性の比率は約2割となり、ほかの全産業と比較してかなり低い水準です。
▼物流業における女性の進出状況
画像引用元:国土交通省『物流を取り巻く現状について』
出典:国土交通省『物流を取り巻く現状について』
物流業界における人手不足への対策
物流業界での人手不足に対応するには、生産性の向上や従業員が働きやすい環境の整備、多様な人材の活用などに取り組むことがポイントです。
対策1|物流システムやロボットの導入
物流現場の効率化・最適化に役立つ物流システムや、倉庫内での単純作業を自動で行う物流ロボットを導入して、人手不足を補う方法があります。
▼物流システム・物流ロボットの例
具体例 |
詳細 |
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物流システム |
在庫管理システム |
倉庫内の在庫・過不足・出荷状況などを管理する |
貨物追跡システム |
貨物の状況や現在地を管理する |
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EDIシステム |
企業間で取引状況を管理する |
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物流ロボット |
無人配送ロボット (AGV) |
倉庫内の決められたルートを走って荷物を搬送する |
自律走行ロボット(AMR) |
倉庫内で保管場所の位置やルートを検知しながら荷物を搬送する |
物流システムを導入すると、物流に関するプロセスを一元管理して、配送状況や在庫状況などを可視化できます。これにより、倉庫内作業の標準化や人員配置の最適化を図れます。
また、物流ロボットを導入すると、ピッキングや棚への格納作業などの単純業務をロボットに任せることが可能です。倉庫内での作業を自動化できるため、省人化による人手不足の解消と身体的な負担の軽減に役立ちます。
ただし、物流システム・物流ロボットを導入するには、初期投資や運用費などのコストがかかることに注意が必要です。
対策2|労働環境の改善
長時間労働の是正や待遇の見直しなどを行い、労働環境の改善を図ることも人手不足を解消するための重要な取り組みといえます。
▼労働環境改善の例
- 帳票の標準化・ペーパーレス化を行い、検品や事務作業を効率化する
- 荷物の外装とパレットの標準化を行い、倉庫内での荷役作業を効率化する
- 荷主との運賃交渉を行い、従業員の基本給を上げる
- 福利厚生の充実や有給休暇の取得促進を行い、休みを取りやすくする
- 時短勤務制度を導入する
- 子育て家族のための託児所を導入する など
労働環境の改善に取り組み、従業員にとって働きやすい職場となれば、定着率の向上や就職希望者の増加にも結びつくと期待できます。
対策3|採用条件の拡大
採用条件を拡大して、外国人労働者やシニア世代などの今まで対象としていなかった人材の採用を積極的に行うことも対策の一つです。
ただし、むやみに採用条件を拡大するのではなく、誰もが快適に働けるような就労環境を整えることが重要です。
対策4|シフト管理システムの導入
トラックドライバーや倉庫内作業を行う従業員の人手不足に対応するには、限られた人材でいかに効率よく合理的に人員配置するかが重要です。そのためには、一人ひとりの“人時生産性”を把握しておく必要があります。
人時生産性とは、従業員一人ひとりの1時間当たりの生産性を指します。人時生産性を把握することで、作業スケジュールや一人当たりの作業量から標準生産性を算出できます。
▼人時生産性の一般的な計算例
人時生産性=粗利益高÷総労働時間
例えば、粗利益高が200万円、総労働時間が200時間だった場合の人時生産性は、[200万円÷200時間=10,000円]です。人時生産性は高いほどよいとされています。
人時生産性の算出には、粗利益高と総労働時間を把握する必要があるため、日頃から従業員の労働時間を正しく管理しておくことが求められます。従業員の労働時間を管理するには、シフト管理システムの活用が有効です。
『シフオプ』では、売上予算を基に人件費予算を設定して、現場の繁閑状況に応じた人員配置を行えます。入庫・出庫のピーク時に人員を増やしたり、閑散時に人員を抑えたりといった調整がしやすくなります。
また、予算に対する人時売上が自動表示されるため、売上確定後に人時生産性を算出して予実のギャップを把握することが可能です。そのほか、各拠点でのシフトの共有によって、事業所間でのヘルプ体制を構築できる機能も備わっています。
詳しい機能は、こちらからご確認ください。
まとめ
この記事では、物流業界の人手不足について以下の内容を解説しました。
- 物流業界の現状
- 物流業界で人手不足が起こる原因
- 人手不足への対策
物流業界では、宅配便の需要が急速に拡大している一方で、入職率よりも離職率が上回っており人手不足が見られています。
人手不足に対応するには、ITを活用して生産性の向上を図ったり、従業員が働きやすい労働環境へ見直したり、多様な人材の採用を促進したりする対策が必要です。
また、限られた人材をうまく活用するには、人時生産性を意識した人員配置を行うこともポイントです。
『シフオプ』は、シフトの収集・作成・共有をオンラインで行えるクラウド型のシフト管理システムです。売上予算と人件費予算に対する人時売上が自動で計算されるため、人時生産性を算出しやすくなります。これにより、人件費の最適化と効率的なシフト作成が行えます。
詳しくは、こちらの資料をご覧ください。