
コンプライアンス厳守のための対策3選。違反はなぜ起こる?
※2024年6月28日更新
コンプライアンスとは、国が定める法令や規制を遵守することを指します。企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)に対する意識が高まるいま、法令の遵守はもちろん社内規範や倫理規範などに基づいて正しい行動をとることが求められています。
一方で、内部不正や不祥事、過重な長時間労働などのコンプライアンス違反が行われるケースも見られており、企業には健全な経営体制を構築するための対策が必要となっています。
人事・労務担当者のなかには「コンプライアンス違反はなぜ起こるのか」「どのような対策を行えばよいのか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、コンプライアンス違反が起こる原因や具体例、法令遵守を徹底するための対策について解説します。
なお、コンプライアンスが重要視される背景についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
コンプライアンス違反が起こる原因
企業のコンプライアンス違反が起こる原因には、以下が考えられます。
▼コンプライアンス違反が起こる原因
- 法令遵守に対する意識が低い
- 不正が行われやすい職場環境になっている
- コンプライアンス違反を是正する仕組みがない など
経営層が法律や倫理規範に対して意識が低い場合、内部統制の仕組みが構築されていなかったり、規範を守る組織の風土が醸成されなかったりして、知らないうちにコンプライアンス違反を招く可能性があります。
また、組織の管理体制が不透明になっており、明確な行動指針や社内規範が定められていない場合には、不正・不祥事が起こりやすくなります。
内部監査や報告を行える仕組みがなければ、不正・不祥事の発見が遅れるほか、是正に取り組むきっかけを得られないことから、重大なコンプライアンス違反を招くリスクも考えられます。
企業がコンプライアンスを遵守するには、経営層と従業員一人ひとりの意識を高めるとともに、社内のルールや管理体制を整備して有効に機能させることが求められます。
企業で発生するコンプライアンス違反
企業では、事業活動や労務管理、職場環境などにおいてさまざまなコンプライアンス違反が発生するリスクがあります。
企業側のコンプライアンス違反
企業で起こるコンプライアンス違反の例には、以下が挙げられます。
▼コンプライアンス違反の例
- 不正会計
- 機密情報・個人情報の漏えい
- 賃金・残業代の不払い
- 上限を超える時間外労働 など
粉飾決算や脱税などの不正会計は、業績不振または横領を隠ぺいするために経営層による意図的な指示によって組織ぐるみで行われるケースがあります。不正会計が発覚した場合には、取引先や顧客による信用が失墜して経営に大きな影響を及ぼしたり、刑事罰に問われたりする可能性があります。
また、機密情報・個人情報の漏えいは、情報セキュリティ管理体制の不備やヒューマンエラー、従業員の故意などによって起こるリスクのあるコンプライアンス違反です。情報漏えいが発生した場合には、関係者への謝罪と損害賠償を求められる可能性があります。
さらに、従業員の労働条件や職場環境については法律によってさまざまな規定が設けられています。賃金・残業代の不払いや時間外労働などの労務管理に関するコンプライアンス違反が起こると、法令違反によって企業が罰則を受ける可能性があるほか、従業員の離職を招くことにもつながります。
そのほか、職場でのパワーハラスメントや性別による差別など、従業員に対して不適切な言動または不当な扱いを行うこともコンプライアンス違反に当たります。
従業員個人によるコンプライアンス違反
コンプライアンス違反は、組織的な不正行為に限らず従業員個人の行為によって発生するケースも考えられます。
▼従業員個人によるコンプライアンス違反の例
- 会社備品の私物化
- データの無断持ち出し
- 社用端末の私的利用
- 無許可の持ち帰り残業 など
職場にある事務用品や消耗品などの備品を持ち帰る行為は、窃盗または横領として刑事罰の対象になる可能性があります。
また、業務に使用するデータを無断で私用のパソコンに保存したり、社用端末を利用してSNSの投稿をしたりする行為は、情報漏えいにつながる可能性もあるため、注意が必要です。
さらに、勤務時間中に対応できなかった仕事を自宅に持ち帰って無許可で残業を行った場合には、企業側が正しい労働時間を把握できず残業代を支払えないことから、法令違反とみなされる可能性があります。
コンプライアンスを遵守するための3つの対策
企業のコンプライアンス違反を防ぐには、組織全体の意識を高めるとともに、明確な基準に沿って事業活動や労務管理など行える仕組みをつくることが重要です。
①管理者や従業員への教育を実施する
コンプライアンスに対する組織全体の意識を高めるために、管理者や従業員への教育を実施することが重要です。
企業と従業員個人が遵守するコンプライアンスの領域や内容、違反例などを学ぶ機会を設けることで、自身の行動を振り返り行動を見直すきっかけとなります。継続的に教育を行うと、意識の浸透や組織風土の醸成につながると期待できます。
▼教育の実施方法
- 専門家による研修やセミナーを実施する
- eラーニングを導入して理解度のテストや評価を行う など
教育を実施する際は、役職や部門、業務内容、職場環境などを踏まえたうえで、対象者に合ったプログラムを選ぶことがポイントです。また、コンプライアンスに関する知識や意識がどの程度身についていればよいのか目標を明確にしておくことで、達成状況に応じた教育プログラムを検討できます。
②コンプライアンスの基準を設定する
従業員一人ひとりが社内規定や行動指針に基づいて対応できるように、コンプライアンスの基準を明確にしておく必要があります。
特にパワーハラスメント・セクシャルハラスメントなどは、価値観の違いや無意識な行為によって引き起こされやすいと考えられます。「どのような行為が違反になるのか」を具体的に定めて共有することで、意識の変化や行動の改善を図れます。
▼コンプライアンスの基準について定める項目例
- コンプライアンス違反に該当する・該当しないケース
- 違反ケース別の罰則や処分方法、生じるリスク
- コンプライアンス違反を発見した場合の対応 など
また、万が一コンプライアンス違反が起きてしまった場合でも、定めた基準に沿って処分の判断や指導を行えるようになり、再発防止につなげられます。
③労働時間の管理体制を見直す
勤怠管理やシフト管理の方法を見直すことで、上限を超える長時間労働、残業代の不払いなどのトラブルを防止できます。
▼労働時間の管理体制を見直すポイント
- 残業の持ち帰りや申請に関するルールを社内規定に定める
- 勤怠管理ツールを導入して日・週ごとの勤怠状況をリアルタイムに把握する
- シフト管理システムを導入して、労働時間の違反チェックを行う など
残業を許可制にすると、時間外労働を把握して正しい残業代の支払いが可能になるほか、過重な長時間労働を抑制できます。また、勤怠管理ツールで従業員の勤怠状況をリアルタイムに把握できれば、「給与計算の際に時間外労働が上限を超えていることが発覚した」といったトラブルの防止につながります。
さらに、シフト管理システムのなかには、労働時間が法令の上限を超えていないかチェックする機能が備わったものもあります。シフトの作成段階で法令の上限を超える労働を防止できるため、労務コンプライアンスの徹底につながります。
まとめ
この記事では、企業のコンプライアンス対策について以下の内容を解説しました。
- コンプライアンス違反が起こる原因
- 企業で発生するコンプライアンス違反
- コンプライアンスを遵守するための3つの対策
企業のコンプライアンス違反は、組織全体における意識の低さや社内規定・行動指針の曖昧さ、管理体制の不備などが原因で起こりやすくなります。
罰則や損害賠償請求などのリスクを防ぐには、コンプライアンスに対する意識の向上を図るとともに、遵守する社内規範と行動の基準を明確にすること、労働時間の管理体制を見直すことがポイントです。
また、労務管理については従業員の労働時間や残業の状況などを正確に把握できるツール・システムを活用することも有効といえます。
シフト管理システムの『シフオプ』は、シフトの作成時に労働時間を確認しながら人員配置を行えるほか、労務違反のリスクをチェックしてアラートを表示する機能が備わっています。勤怠管理システムや給与管理システムにシフトのデータを取り込むと、労働時間の照査、残業代の計算などにも役立ちます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。