
代休と振替休日の違いは? 従業員に付与する際の注意点を解説
※2024年4月26日更新
休日に従業員を労働させた際に、代休もしくは振替休日を付与することがあります。代休と振替休日は定義や割増賃金のルールが異なるため、2つの違いを明確に把握しておくことが重要です。
人事・労務担当者のなかには「代休と振替休日の違いを改めて確認しておきたい」「代休や振替休日を付与する際の注意点を押さえておきたい」と考える方もいるのではないでしょうか。
この記事では、労務コンプライアンスの強化を図る人事・労務担当者の方に向けて、代休と振替休日の定義や違い、付与する際の注意点について解説します。
代休・振替休日の定義
代休と振替休日は、労働基準法上で使用される用語ではありませんが、厚生労働省によって明確に区別されています。
▼代休と振替休日の定義
代休 |
振替休日 |
|
労働日の扱い |
休日労働 |
通常の労働日 |
代替となる休日を決定するタイミング |
事後 |
事前 |
代休とは
代休とは、本来休日としていた日に労働させたあと、そのかわりとして特定の労働日を休みにすることです。休日労働が行われたことを前提として、休日を付与する仕組みとなります。
労働基準法では、原則として毎週少なくとも1回の休日を付与することが定められています。これを“法定休日といい、法定休日に従業員を労働させた場合は“休日労働”として扱われます。
週休2日制の職場において土曜日と日曜日が休みとなっている場合には、どちらか一方が法定休日に当たります。例えば、法定休日を日曜日と定めており、代休を付与するケースには以下が挙げられます。
▼代休を付与する例(法定休日が日曜日の場合)
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
|
変更前 |
法定休日 |
労働日 |
労働日 |
労働日 |
労働日 |
労働日 |
所定休日 |
変更後 |
休日労働 |
労働日 |
労働日 |
代休 |
労働日 |
労働日 |
所定休日 |
上記の例では、日曜日の休日労働が行われたことを前提に、その週の水曜日に代休を付与しています。
出典:厚生労働省『振替休日と代休の違いは何か。』/厚生労働省 山梨労働局『代休?振替休日?』
振替休日とは
振替休日とは、本来休日とされていた日を労働日にして、その替わりにほかの労働日を休日に変更することです。本来の休日は休日労働ではなく、通常の労働日として扱われます。
週休2日制の職場で日曜日を法定休日としている場合に振替休日を付与する際は、以下のようになります。
▼振替休日を付与する例(法定休日が日曜日の場合)
日 |
月 |
火 |
水 |
木 |
金 |
土 |
|
変更前 |
法定休日 |
労働日 |
労働日 |
労働日 |
労働日 |
労働日 |
所定休日 |
変更後 |
労働日 |
労働日 |
労働日 |
振替休日 |
労働日 |
労働日 |
所定休日 |
上記の例では、日曜日の法定休日をあらかじめ通常の労働日に替えて、振替休日を付与した水曜日が法定休日に変わります。振替休日を付与する日については、対象となる労働日よりも前に設定しておく必要があります。
出典:厚生労働省『振替休日と代休の違いは何か。』/厚生労働省 山梨労働局『代休?振替休日?』
代休・振替休日の違い
代休と振替休日では、割増賃金の支払いについて違いがあります。
割増賃金とは、法定労働時間(1日8時間・1週40時間)を超える時間外労働や法定休日に労働させた場合などに発生する手当のことです。
▼代休と振替休日における割増賃金の支払い義務
代休 |
振替休日 |
|
割増賃金の支払い義務 |
あり |
なし |
代休では、法定休日とされていた日に労働させた結果、以後の労働日を休みとすることから、労働させた日については労働日ではなく休日労働に当たります。そのため、休日労働分の割増賃金が発生します。
一方、振替休日ではあらかじめ法定休日を別の日に振り替えることから、本来休日と定められた日は労働日となります。したがって、労働させた日に対する割増賃金の支払い義務は発生しません。
なお、割増賃金の割増率は対象となる労働の種類ごとに設定されており、休日労働については35%以上となっています。
▼割増賃金の割増率
対象となる労働 |
割増率 |
休日労働 |
35%以上 |
時間外労働 |
25%以上 |
深夜労働 |
25%以上 |
そのほかの割増賃金や法定休日の仕組みについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:厚生労働省『振替休日と代休の違いは何か。』/厚生労働省 山梨労働局『代休?振替休日?』/厚生労働省 東京労働局『しっかりマスター 労働基準法』
代休・振替休日を付与する際の注意点
代休または振替休日を行う場合には、従業員の労務管理に注意が必要です。
➀週をまたぐ振替休日は割増賃金が発生する可能性がある
振替休日を運用する際、あらかじめ振り替える休日については原則として同一週内に設定する必要があります。
法定労働時間の原則となる1日8時間・週40時間を超える労働を行わせた場合には、時間外労働に対する割増賃金の支払いが発生します。
通常、振替休日の労働日は休日労働には該当しませんが、休日を振り替えたことによって1週間の労働時間が40時間を超えた場合には、割増賃金の支払いが必要です。
例えば、日曜日の法定休日を次週の月曜日に振り替える場合には、1週間の労働時間が40時間を超えてしまいます。
▼変更前
画像引用元:厚生労働省 山梨労働局『代休?振替休日?』
▼変更後
画像引用元:厚生労働省 山梨労働局『代休?振替休日?』
1日(日曜日)の法定休日を次週の9日(月曜日)に振り替えると、1~7日までの一週間は労働時間が48時間となります。したがって、時間外労働の8時間分については割増賃金を支払う必要があります。
出典:厚生労働省 山梨労働局『代休?振替休日?』
②36(サブロク)協定を締結する
代休によって休日労働を行わせる場合や、振替休日で週40時間を超えて労働させる場合には、労使間で36協定を締結することが必要です。
36協定とは、『労働基準法』第36条で定められた労使協定です。法定労働時間を超える労働や法定休日に労働させる場合には、36協定を締結して労働基準監督署に届け出る必要があります。
▼労働基準法第36条
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
引用元:e-Gov法令検索『労働基準法』
なお、代休や振替休日を運用する際には、36協定の締結が不要になるケースもあります。
▼36協定の締結が不要になるケース
- 法定休日ではなく所定休日に休日労働を行った場合
- 週40時間を超えない範囲で振替休日を付与する場合 など
なお、36協定についてこちらの記事で詳しく解説しています。
出典:e-Gov法令検索『労働基準法』/厚生労働省『時間外労働の上限規制 わかりやすい解説』
③就業規則に規定する
代休や振替休日を運用する際は、就業規則に規定しておく必要があります。
▼就業規則に規定しておく内容
- 業務上の都合により休日労働や休日の振り替えを行う可能性があること
- 代休を付与するまでの原則的な期間
- 割増賃金の割増率
- 代休や振替休日に関する給与の発生有無 など
就業規則に代休や振替休日の運用方法を明記しておくことで、従業員とのトラブル防止にもつながります。
出典:厚生労働省 山梨労働局『代休?振替休日?』
まとめ
この記事では、代休と振替休日について以下の内容を解説しました。
- 代休と振替休日の定義
- 代休と振替休日の違いと割増賃金の支払い義務
- 代休・振替休日を付与する際の注意点
代休と振替休日は、労働日の扱いや代替とする休日を設定するタイミングによって区別されています。法定休日に労働させて代休を付与する場合や、週をまたいで振替休日を付与して労働時間が週40時間を超える場合には、割増賃金が発生します。
運用する際は36協定を締結するとともに、就業規則で制度の詳細について明記しておくことが重要です。また、従業員一人ひとりの労働時間や休日を把握するには、日ごろからシフト管理を行うことも欠かせません。
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