
コロナの休業補償はアルバイトも対象? 給付額や申請方法を解説
新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)による休業要請や時短営業の影響で、アルバイトの休業を余儀なくされるケースが生じています。
従業員に対してコロナに起因する休業を命じる場合には、『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』の対象となることがあります。アルバイトを雇用する使用者は、対象範囲や申請方法について確認し、適切に活用することが重要です。
この記事では、コロナによる休業補償制度の概要と申請方法について解説します。
※この記事は2021年7月段階で調査した情報を基に掲載しています。
新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金について
『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』とは、コロナによる影響を受けて休業させざるを得なかった従業員に対して給付金を支給する制度のことです。この制度の特徴は、従業員個人が申請を行うことができるという点です。
アルバイトを雇用している企業では、この給付金制度を有効活用して従業員の不利益をできるかぎり回避するよう務めることが求められています。給付金の対象となる要件や申請方法ついて把握するとともに、自社の従業員が申請を行う場合には協力することが望ましいです。
支給対象
支援金・給付金の対象となるのは、コロナによる休業※1と認められるケースです。
ただし、中小企業と大企業では対象者が異なるため注意しましょう。
※1・・・ここでの休業とは、所定労働日に事業者が従業員を休ませることを指します。
中小企業の対象者
▼中小企業の定義
卸売業:資本金1億円以下、もしくは従業員数100人以下
飲食店を含む小売業:資本金5,000万円以下、もしくは従業員数50人以下
サービス業:資本金5,000万円以下、もしくは従業員数100人以下
そのほか:資本金3億円以下、もしくは従業員数300人以下
▼対象者
2020年4月1日~2021年6月30日に休業となった従業員
コロナの影響によって事業主が休業を命じ、かつその期間中に発生する休業手当を支払っていない従業員が対象となります。なお、シフト制の場合や非正規社員の場合でも、休業の事実を確認できる場合には申請が可能です。
大企業の対象者
▼大企業の定義
中小企業の定義となる条件をいずれも満たさない企業
▼対象者
- 2020年4月1日~2020年6月30日
- 2021年1月8日~2021年6月30日
※上記の期間において休業となった従業員
期間内に休業した従業員のうち、大企業で雇用されるシフト労働者(シフト制・日々雇用・登録型派遣)が対象です。事業者がコロナの影響で休業を命じ、なおかつ休業手当を支払っていない場合に申請できます。
出典:厚生労働省『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』
対象事由
休業に対する支援金の給付を受けるためには、事業者と従業員の双方が記入する“支給要件確認書”の作成が必要です。
中小企業・大企業にかかわらず、事業主が従業員に休業を命じたという事実について、労使の認識が一致していることが給付の条件とされています。ただし、支給要件確認書によって休業の事実が確認できない場合でも、以下のようなケースでは休業と見なされます。
▼休業と見なされるケース
- 休業開始前の給与明細などで6ヶ月以上、月4日以上の勤務の事実が確認できる。なおかつコロナの影響がなければ同様に勤務を継続させていたという意向が確認できる。
- 労働条件通知書に勤務日の記載がある、または申請対象月のシフトが出ており、その内容が正しいことが確認できる。
なお、コロナの影響以外で休業に至った場合には、支援金の給付対象とはなりません。
出典:厚生労働省『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』
申請者
コロナによる休業支援金・給付金の申請は、事業主が提出する場合に限らず、従業員自身が直接申請することも可能です。ただし、事業主の協力を得て書類を作成したほうが審査をスムーズに進められます。
アルバイトのなかには、休業支援金・給付金について把握していない人もいるため、給付の対象となる場合には企業側から申請を進めることが望まれます。
支給額と算定方法
1日あたりの支給額の上限は11,000円です(※2021年5月以降は9,900円)。支給額は以下のように算出できます。
▼休業支援金・給付金の算出式
休業前の1日あたりの平均賃金×80%×休業実績
それぞれの求め方を以下で解説します。
休業前の1日あたりの平均賃金の算定方法
休業前にどれくらいの収入を得ていたか把握するために平均賃金を求めます。
▼休業前の1日あたりの平均賃金を求める算出式
(申請対象月の休業開始前6ヶ月のうち、任意の3ヶ月の賃金合計額)÷90
たとえば、3ヶ月の賃金合計額が45万円の場合は、450,000÷90=5,000円となり、1日あたりの平均賃金は5,000円と算出できます。
休業実績の算定方法
休業や時短営業の影響を受け、アルバイトの勤務日数・勤務時間がどれくらい減少したかを求めます。
▼休業実績の算出式
休業実績=各月の日数-(事業主の都合で休業した日数+就労した日数)
たとえば、各月の日数が30日・就労日数が12日・休業した日数が3日の場合、30日-(12日+3日)=15日と算出できます。
このとき、1日4時間未満の就労の場合は1/2休業と見なすことが可能です。また、週5回のシフトが週3回に減るように、月内のシフトが減少した場合も対象となります。
出典:厚生労働省『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金』
申請方法
必要書類を用意したのち、オンラインまたは郵送で申請を行います。必要書類は以下のとおりです。
▼必要書類一覧(事業主経由の場合)※1
1 |
支給申請書 |
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2 |
支給要件確認書(従業員と事業主で協力して作成※2) |
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3 |
本人確認書類(例:免許証の写し) |
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4 |
振込先口座確認書類(例:キャッシュカードの写し) |
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5 |
休業前および休業中の賃金額を確認できる書類(例:給与明細の写し) |
※1・・・中小企業向けの必要書類です。
※2・・・2020年4月~2020年9月の休業についての申請は別途必要書類があります。
【オンライン申請】
オンライン申請の場合、スキャナで読み取る、またはスマートフォンのカメラで撮影して必要書類をデータ化しなければなりません。その後、『新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金システム』にログインし、基本情報の登録や必要書類のアップデートを行います。
【郵送申請】
郵送の場合、必要書類を封筒に入れて送付します。詳しい宛先は厚生労働省のWebサイトでご確認ください。
出典:厚生労働省『休業支援金・給付金の申請方法について』
申請期限
支援金・給付金の申請は、休業した月の翌月初日から申請可能です。たとえば、5月に休業した場合は6月1日より申請可能となります。中小企業、大企業の申請期限については以下のとおりです。
▼申請期限
休業時期 |
申請期限 |
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中小企業 |
2020年10月~2021年4月 |
2021年7月31日 |
2021年5月~2021年6月 |
2021年9月30日 |
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2021年7月 |
2021年10月31日 |
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大企業 |
2020年4月~2020年6月 |
2021年7月31日 |
2021年1月8日~2021年4月 | ||
2021年5月~2021年6月 |
2021年9月30日 |
|
2021年7月 |
2021年10月31日 |
雇用調整助成金
個人が国から受け取ることができる休業支援金・給付金とは別に、企業を通して行われる休業支援策として『雇用調整助成金』という制度があります。
雇用調整助成金は、労働者の雇用維持や安定を目的として雇用保険法に基づいて誕生した制度です。
コロナの影響を受けて事業活動を縮小している事業主や最近1ヶ月の売上高が前年同月比で5%以上減少している事業主など、特定の条件を満たす事業主であれば国からの給付金を受けられます。
この制度で給付金を受けられるのは雇用保険被保険者となっています。しかし、コロナの影響による特例措置により、雇用保険被保険者以外の学生を含むアルバイトや契約社員にも緊急雇用安定助成金として給付金が支給されることになりました。
厚生労働省では、事業主に対して雇用調整助成金の活用を呼びかけています。従業員が直接国へ申請できる給付金とは別に、これらの制度を活用して従業員の雇用維持を図ることも事業主に求められています。
出典:厚生労働省『雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)』
まとめ
コロナによる緊急事態宣言、まん延防止措置の影響により、時短営業や休業を余儀なくされ、アルバイトを休業させざるを得ないケースが多く見られています。
不安な状況が続くなか、従業員が直面する不利益をできるかぎり回避することもアルバイトを雇用する使用主の責任です。
コロナの影響で休業に至った場合は、休業実績や休業期間などが一定の要件を満たせば、休業支援金・給付金を受けられます。従業員個人による申請も可能ですが、企業側の協力が求められます。
なお、休業によってシフト減少や勤務時間の短縮を余儀なくされたアルバイトも対象となります。アルバイトを使用する事業主は、従業員の生活を守るために適切に制度を活用していくことが重要です。