
【2022年版】アルバイトの地域別最低賃金と賃金設定の方法
※2021年9月8日公開の記事に修正を加えています。
2022年10月、都道府県の最低賃金が改定されました。アルバイトを雇用している企業は、国が定める最低賃金額以上の賃金を設定する必要があります。
最低賃金を守らない場合は罰則を科せられるため、正しい情報を知っておくことが重要です。
この記事では、最低賃金制度の基礎知識と2022年度における地域別最低賃金、アルバイトの賃金設定の方法について解説します。
※この記事は2022年10月段階で調査した情報を基に地域別最低賃金を掲載しています。
出典:厚生労働省『地域別最低賃金の全国一覧』
最低賃金制度とは
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づいて、企業が労働者に支払う最低額の賃金を定めた制度のことです。最低賃金は国によって毎年10月頃に改定されます。
『最低賃金法』第4条では、労働者を雇用する使用者は、雇用形態や給与形態にかかわらず、最低賃金額以上の賃金を支払う義務があると定められています。
第四条 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『最低賃金法』第4条
最低賃金は1時間あたりの賃金として定められていますが、日給や月給制の場合には、時間額に換算したうえで最低賃金額を満たすかどうか確認が必要です。なお、最低賃金には以下の2種類があります。
▼地域別最低賃金
地域別最低賃金とは、各都道府県で策定される最低賃金です。産業や職種に関係なく、すべての労働者に対して適用されます。
▼特定(産業別)最低賃金
特定(産業別)最低賃金とは、特定の産業に従事する労働者を対象として策定される最低賃金です。地域別最低賃金よりも高水準の最低賃金を定める必要があると認める産業に設定されています。
出典:厚生労働省『地域別最低賃金の全国一覧』『最低賃金の種類は?』『最低賃金のチェック方法は?』/e-Gov法令検索『最低賃金法』
最低賃金の対象となる賃金
最低賃金の対象となるのは、労働者に支払われる基本給です。アルバイトの場合は、時給や日給として支払う賃金にあたります。
以下の手当や報酬は、最低賃金には含まれません。
▼最低賃金の対象外となる賃金・手当
- 時間外割増賃金
- 休日割増賃金
- 深夜割増賃金
- 賞与
- 精皆勤手当、通勤手当、家族手当
- 臨時の賃金(結婚手当など)
出典:厚生労働省『対象となる賃金は?』
2022年度の地域別最低賃金
2022年度の地域別最低賃金は、2022年10月1〜20日に発効されました。使用者は、発効日から最低賃金額以上の賃金を支払う必要があります。
アルバイトを含め、労働者を雇用している企業は、最低賃金改定を確認するとともに、漏れのないように賃金設定を見直すことが必要です。
2022年度の地域別最低賃金は、以下のとおりです。
▼2022年度の地域別最低賃金
都道府県名 |
最低賃金時間額(円) |
発効年月日 |
北海道 |
920 |
2022年10月2日 |
青 森 |
853 |
2022年10月5日 |
岩手 |
854 |
2022年10月20日 |
宮 城 |
883 |
2022年10月1日 |
秋 田 |
853 |
2022年10月1日 |
山 形 |
854 |
2022年10月6日 |
福 島 |
858 |
2022年10月6日 |
茨 城 |
911 |
2022年10月1日 |
栃 木 |
913 |
2022年10月1日 |
群 馬 |
895 |
2022年10月8日 |
埼 玉 |
987 |
2022年10月1日 |
千 葉 |
984 |
2022年10月1日 |
東 京 |
1,072 |
2022年10月1日 |
神奈川 |
1,071 |
2022年10月1日 |
新 潟 |
890 |
2022年10月1日 |
富 山 |
908 |
2022年10月1日 |
石 川 |
891 |
2022年10月8日 |
福 井 |
888 |
2022年10月2日 |
山 梨 |
898 |
2022年10月20日 |
長 野 |
908 |
2022年10月1日 |
岐 阜 |
910 |
2022年10月1日 |
静 岡 |
944 |
2022年10月5日 |
愛 知 |
986 |
2022年10月1日 |
三 重 |
933 |
2022年10月1日 |
滋 賀 |
927 |
2022年10月6日 |
京 都 |
968 |
2022年10月9日 |
大 阪 |
1023 |
2022年10月1日 |
兵 庫 |
960 |
2022年10月1日 |
奈 良 |
896 |
2022年10月1日 |
和歌山 |
889 |
2022年10月1日 |
鳥 取 |
854 |
2022年10月6日 |
島 根 |
857 |
2022年10月5日 |
岡 山 |
892 |
2022年10月1日 |
広 島 |
930 |
2022年10月1日 |
山 口 |
888 |
2022年10月13日 |
徳 島 |
855 |
2022年10月6日 |
香 川 |
878 |
2022年10月1日 |
愛 媛 |
853 |
2022年10月5日 |
高 知 |
853 |
2022年10月9日 |
福 岡 |
900 |
2022年10月8日 |
佐 賀 |
853 |
2022年10月2日 |
長 崎 |
853 |
2022年10月8日 |
熊 本 |
853 |
2022年10月1日 |
大 分 |
854 |
2022年10月5日 |
宮 崎 |
853 |
2022年10月6日 |
鹿児島 |
853 |
2022年10月6日 |
沖 縄 |
853 |
2022年10月6日 |
全国加重平均額 |
961 |
- |
厚生労働省『地域別最低賃金の全国一覧』を基に作成
2022年度の最低賃金は全国加重平均額で961円となっており、前年度から31円引き上げられました。また、最高額は1,072円(東京都)、最低額は853円(沖縄県・鹿児島県・宮崎県・熊本県・長崎県・佐賀県・高知県・愛媛県・秋田県・青森県)です。
出典:厚生労働省『地域別最低賃金の全国一覧』
アルバイトの最低賃金の設定方法
アルバイトの場合、時給制や日給制を採用していることが一般的です。ここでは、時給制と日給制の最低賃金の設定方法を解説します。
なお、すべての労働者が対象となる地域別最低賃金で記載しています。
①時給制
時給制とは、1時間単位の賃金を定めて、働く時間に応じて賃金を支給する給与形態のことです。企業がアルバイトの賃金を設定する際は、地域で定められた最低賃金額以上に設定する必要があります。
▼都道府県別の時給の設定例
- 東京都:1,072円以上
- 大阪府:1,023円以上
- 福岡県:900円以上
なお、最低賃金は毎年10月頃に改定されます。各都道府県での最低賃金時間額と発効年月日を確認したうえで、現在の時給が上回っているかを確認することが重要です。
出典:厚生労働省『最低賃金のチェック方法は?』『地域別最低賃金の全国一覧』
②日給制
日給制とは、1日単位の賃金を定めて、出勤日数に応じて賃金を支給する給与形態のことです。1日あたりの賃金を時間額に換算してから、最低賃金額と比較します。
日給が最低賃金額以上に設定されているかどうかは、以下の計算式で算出できます。
▼日給を時間額に換算する計算式
日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額) |
▼日給の計算例(日給8,000円・8時間労働の場合)
8,000円÷8時間=1,000円(1時間あたり) |
この例では、1時間あたりの賃金は1,000円です。東京都・大阪府・福岡県の最低賃金額と比較すると、以下のようになります。
東京都:最低賃金額1,072円以上を満たしていない 大阪府:最低賃金額1,023円以上を満たしていない 福岡県:最低賃金額900円以上を満たしている |
福岡県では最低賃金額以上の賃金となっていますが、東京都・大阪府では最低賃金額に達していません。最低賃金額に満たない賃金を設定すると法令違反にあたるため注意が必要です。
出典:厚生労働省『最低賃金のチェック方法は?』『地域別最低賃金の全国一覧』
最低賃金を守らない場合の罰則
使用者が労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わない場合は、法令違反となり罰則が科せられます。
地域別最低賃金、特定(産業別)最低賃金における罰則は以下のとおりです。
▼最低賃金を守らない場合の罰則
罰則内容 |
対象法令 |
|
地域別最低賃金 |
50万円以下の罰金 |
最低賃金法 |
特定(産業別)最低賃金 |
30万円以下の罰金 |
労働基準法 |
厚生労働省『最低賃金制度とは』を基に作成
労使間の合意があり、労働契約によって最低賃金額以下の賃金を定めた場合でも、法律によって無効とされて、最低賃金額と同額を定めたものとみなされます。
労働者の賃金が最低賃金額に達していない場合は、差額の支払いが必要です。法令違反が認められる場合には、労働基準監督署による是正勧告や政府による企業名の公表が行われることもあります。
また、罰則による金銭的な損失だけでなく、企業イメージ・社会的信用の低下を招いて、採用活動にも影響が生じるリスクがあるため注意が必要です。
出典:厚生労働省『最低賃金制度とは』『労働者と最低賃金制度』『労働基準関係法令違反に係る公表事案』『ハローワークでは労働関係法令違反があった事業所の新卒求人は受け付けません!』
最低賃金に関する注意点
企業には、最低賃金額を労働者に周知する義務があるほか、派遣社員に対する賃金の取扱いに注意する必要があります。
ここでは、最低賃金に関する2つの注意点について解説します。
労働者への周知義務
『最低賃金法』第8条では、最低賃金に関する周知について、以下のように定められています。
第八条 最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『最低賃金法』第8条
使用者は、最低賃金額の概要について、常時作業場の見えやすい場所に掲示する、またはそのほかの方法によって周知する必要があります。
労働者に周知する内容は、以下のとおりです。
▼最低賃金に関する周知事項
- 最低賃金額が適用される労働者の範囲
- 最低賃金額
- 最低賃金額として参入しない賃金
- 最低賃金額の効力発生日
出典:厚生労働省『最低賃金の周知義務は?』
派遣労働者の取扱い
派遣労働者の場合は、派遣先企業の最低賃金が適用されます。
派遣労働者がいる職場では、派遣元企業の所在地、労働者の住所にかかわらず、派遣先企業の最低賃金額を設定します。
▼例:山梨県在住の派遣労働者を神奈川県の会社に派遣する場合
山梨県の最低賃金額:898円 |
上記のケースでは、派遣先企業の所在地となる神奈川県の最低賃金額が採用されるため、1,071円以上の賃金の支払いが必要です。
出典:厚生労働省『派遣労働者の最低賃金は?』『地域別最低賃金の全国一覧』
まとめ
この記事では、2022年の最低賃金について以下の内容を解説しました。
- 最低賃金制度の概要
- 最低賃金の対象となる賃金
- 2022年度の地域別最低賃金
- アルバイトの最低賃金の設定方法
- 最低賃金を守らない場合の罰則
- 最低賃金に関する注意点
最低賃金は毎年10月に見直されており、都道府県によって金額が異なります。2022年度の改定は10月上旬から中旬に行われ、2021年と比べて全国加重平均額が31円引き上げられました。
アルバイトを含む労働者を雇用している企業は、毎年見直される最低賃金を確認するとともに、適切に改定内容を反映させることが重要です。
なお、シフト制を採用している職場では、従業員によって勤務時間・日数が異なるため、賃金の改定によってシフト管理や人件費の集計が煩雑になりやすくなります。
シフト管理システムの『シフオプ』を活用すれば、時給を個別に設定できるほか、シフト作成時に人件費を可視化して、予算に応じたシフト管理が可能です。
毎年行われる最低賃金の改定に適切かつ効率的に対応するために、シフト管理体制の見直しを図ってはいかがでしょうか。
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