
アルバイト・パートの健康診断は義務? 実施要件やメリットについて解説
※2023年4月25日更新
年に一度、実施される健康診断。実施の準備をしていくなかで「アルバイト・パートも対象になるのか」「受診を断られたらどうしたらよいか」などの疑問を持つ担当者の方もいるのではないでしょうか。
本記事では、健康診断の実施義務やアルバイト・パートに健康診断を受けてもらうメリットなどについて解説します。
目次[非表示]
健康診断の実施義務
従業員に対して行われる健康診断を“定期健康診断”といいます。定期健康診断は、一般健康診断の一種で『労働安全衛生法』第66条、『労働安全衛生規則』第44条において事業者に実施が義務づけられています。
▼労働安全衛生法 第66条
事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条及び次条において同じ。)を行わなければならない。
引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生法』
▼労働安全衛生規則 第44条
事業者は、常時使用する労働者(第四十五条第一項に規定する労働者を除く。)に対し、一年以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一 既往歴及び業務歴の調査
二 自覚症状及び他覚症状の有無の検査
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
四 胸部エックス線検査及び喀痰かくたん検査
五 血圧の測定
六 貧血検査
七 肝機能検査
八 血中脂質検査
九 血糖検査
十 尿検査
十一 心電図検査
引用元:e-Gov法令検索『労働安全衛生規則』
健康診断の目的は、企業の雇用責任として従業員の健康を管理することです。健康診断を実施することで、従業員が自身の健康状態を知ることができ、生活習慣の見直しを促せるようになります。
定期健康診断は、雇用形態にかかわらず、アルバイト・パートであっても一定の条件を満たす場合には実施が必要です。
出典:厚生労働省『労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう』『労働安全衛生法に基づく定期健康診断』/厚生労働省 東京労働局『Q16.一般健康診断では常時使用する労働者が対象になるとのことですが、パート労働者の取り扱いはどのようになりますか?』/e-Gov法令検索『労働安全衛生法』『労働安全衛生規則』
健康診断の実施が必要な条件
健康診断は、従業員の勤務状況によって実施の義務が異なります。健康診断の対象者は“常時使用する労働者”と定められています。そのため、正社員に限らず、一定の勤務条件を満たすアルバイト・パートには、健康診断を実施する義務があります。
以下の2つの条件を満たす場合には、アルバイト・パートでも健康診断の受診対象となります。
▼健康診断の実施が必要な条件
- 1年以上の長さで雇用契約を締結している、または雇用期間の定めがない、あるいは既に1年以上の雇用実績がある
- 1週間当たりの労働時間数が通常の労働者の4分の3以上
また、上記の1に該当しつつ、2に該当しない場合でも、1週間当たりの労働時間数が通常の労働者の2分の1以上ある場合には、健康診断を実施するのが望ましいとされています。
アルバイト・パートを含む従業員全体の健康を管理することは、働きやすい職場環境につながり、人材確保や生産性の向上にも貢献すると考えられます。
出典:厚生労働省 愛知労働局『各種健康診断について』/厚生労働省 東京労働局『Q16.一般健康診断では常時使用する労働者が対象になるとのことですが、パート労働者の取り扱いはどのようになりますか?』
スムーズに健康診断を受けてもらうポイント
健康診断の受診対象となる従業員がいる場合でも、「健康診断を受診するのが面倒」「出勤日と日程が合わないため受診できない」などの理由で、健康診断を受けない人も出てくると考えられます。
スムーズに健康診断を受診してもらうには、次のような対応を取ることがポイントです。
▼健康診断を受診してもらうための対応
- 健康診断の重要性を伝える
- 健康診断日の候補を複数用意する
- 業務量に合わせてシフトを調整する
健康診断を受診することで、健康状態の把握や病気の早期発見・早期治療につながります。従業員に健康診断の重要性を伝えることで、「忙しいから」「面倒だから」「病院に行くのが怖いから」といった理由で受診を控えていた従業員の受診を促せます。
シフト制の職場では、健康診断日に出勤していない従業員が受診できないケースもあります。医療機関を予約する際、日程・時間帯の候補日を複数用意することで、気軽に受診してもらいやすくなります。
また、「業務が多忙で健康診断を受ける時間がない」という従業員には、健康診断日の業務量を減らすようにシフトを調整することも重要です。
健康診断の費用負担は事業主
労働安全衛生法で定められた健康診断の費用については、企業側が負担するべきとされています。健康診断を受診する時間に対する賃金についても、事業者が支払うことが望ましいです。
アルバイト・パートの受診を促進するためにも、健康診断の受診時間を勤務時間とみなして、規定の賃金を支払うことが必要です。
また、定期健康診断の結果、再検査が求められた場合の費用は法律による定めがないため、労使間の協議や就業規則にしたがって判断します。
ただし、健康診断に規定される受診項目の再検査は、健康診断の範囲内として事業者が負担するべきと記載されています。
出典:厚生労働省『健康診断の費用は労働者と使用者のどちらが負担するものなのでしょうか?』『健康診断を受けている間の賃金はどうなるのでしょうか?』/厚生労働省 石川労働局『労働安全衛生法に基づく健康診断に関するFAQ』
アルバイト・パートの健康診断を行うメリット
事業者がアルバイト・パートの健康診断を行うメリットには、次の3つが挙げられます。
▼健康診断を行うメリット
- 離職の防止につながる
- 従業員満足度の向上が期待できる
- 採用時にアピールできる
年に一度、定期健康診断を受けてもらうことで、生活習慣病をはじめとする健康リスクを把握できるようになります。必要に応じて医療機関の受診を促したり、働き方の見直しが必要な従業員に対して担当業務やシフトを見直したりすることで、健康リスクの予防につながり、離職の防止にも貢献します。
また、福利厚生として健康診断の費用を事業者が負担して、従業員の健康管理に力を入れることで、満足度の向上も期待できます。法令に基づいた健康診断を実施する職場として、採用時に働きやすさをアピールできることもメリットの一つです。
健康診断の実施で働きやすい職場づくりにつながる
働き方改革により、働きやすい職場環境づくりや福利厚生の充実などが重要視されている今、従業員の健康管理は企業にとってもメリットがあります。
健康管理に力を入れている職場は、従業員満足度が向上して、モチベーションや定着率の向上が期待できます。また、健康管理を徹底することで、病気による離職を防げるため、人手不足の防止にもつながります。
法律で定められているからというだけでなく、企業戦略の一環と捉えて取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
この記事では、アルバイト・パートの健康診断について以下の内容を解説しました。
- 健康診断の実施義務
- 健康診断の実施が必要な条件
- スムーズに健康診断を受けてもらうポイント
- 健康診断を行うメリット
正社員だけでなく、アルバイト・パートでも、一定の要件を満たす場合は健康診断を実施する義務があります。
要件を満たさない場合には、健康診断を受けさせる義務はありませんが、従業員の健康管理は、企業の生産性向上や人員確保の面においても欠かせません。可能な限り、すべての従業員へ健康診断を実施することが望ましいといえます。
なお、アルバイト・パートの健康診断は、労働時間によって実施義務となる対象者が異なります。日頃から従業員の労働時間を管理するために、シフト管理システムを活用することがおすすめです。
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