
アルバイトの離職問題、解決の糸口は?
コンビニエンスストアやファストフード店、居酒屋などではアルバイト募集の貼り紙を見かける機会が多く、人材確保への取り組みが各店舗で見られます。
これには、アルバイトを募集・採用してもすぐに辞められてしまったり、そもそもの応募が少なかったり、内定を辞退されてしまったりと、アルバイトの雇用問題が深刻化しているという背景もあります。
今回は、アルバイトの早期離職を防ぎ、定着率を高める方法について解説します。
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求職者が企業に求めることとは
「採用してもすぐにアルバイトが退職してしまう」という原因のひとつに、“採用のミスマッチ”が挙げられます。たとえば、採用して働きはじめたアルバイトが「実際に働いてみたらイメージしていた仕事内容と異なる」「聞いていた条件と違う」というような感情を持つケースです。求職者が企業に求めているのはどのような条件なのでしょうか。
どれくらい稼げるか
ジョブズリサーチセンターの調査によると、仕事の目的の1位は「生計の維持のため」、次点が「自由に使えるお金(小遣い)の確保のため」となりました。そのほかの回答も、貯蓄、養育費、娯楽費などが上位にあがっており、アルバイトを希望している人はお金を稼ぐことを目的に求職している人が多いことがわかります。
アルバイトにとっても“安定して効率よく稼げること”は重要なポイントです。
(出典:ジョブズリサーチセンター「求職者の動向・意識調査2017 基本報告書」)
シフトや休日申請は柔軟か
アルバイトを探す際、労働時間や休日日数は気になるポイントの一つです。
たとえば子育て中の場合、子どもの急病や学校行事などで休まざるをえないこともあります。しかし、休んだ分だけ収入が減ってしまうアルバイトでは、どこかで出勤して急な欠勤の穴埋めをしたいこともあるでしょう。安定的な収入を得たい人にとって、シフトを柔軟に扱ってもらえるかどうかも大切です。
厚生労働省「-平成 29 年雇用動向調査結果の概況-」の調査結果では、前職の退職理由が「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」と回答した人が男女ともに多い結果になっており、労働時間や休日日数の重要性がわかります。
(出典:「-平成 29 年雇用動向調査結果の概況-」)
本人が望む経験や仕事ができるか
アルバイト選びをするときは、時給の高さや家からの距離以外の条件にも「社会経験を積みたい」「仕事の内容が魅力的」など、仕事をすることそのものが目的のこともあります。
仕事をすること自体が目的の場合、業務を通してどのような経験ができるのか、どのようなスキルを身につけられるのかといったポイントが重要になります。
アルバイトの募集から採用まで、企業が注意すべき7つのポイント
採用のミスマッチ・応募数の減少・内定の辞退を防ぐために注意しておくべきポイントを、アルバイトの募集から採用まで時系列でみてみましょう。
①仕事内容や勤務条件は、できるだけ丁寧に伝える
求職者にとっては応募の動機になる重要な部分です。
アピールの仕方が弱い、説明が不足している、という求人広告は、求職者の興味を惹きつけられず、応募数の減少につながります。
また、採用後「自分が考えていた仕事とは違った」というギャップが生まれると、アルバイトの早期離職の要因になってしまいます。
募集の段階だけでなく、面接時や採用時にもどのような仕事を担当するのか、勤務時間や待遇はどうなるのかを繰り返し伝えて、認識のすり合わせをしておきましょう。
②求職者が希望するシフト日数に応じられるか伝える
時間給で働くパート・アルバイトにとって、出勤日数は収入に直結します。
面接の際には、希望収入金額を確認しておきましょう。本人の希望とあまりにもかけ離れている場合、「思っていたより稼げなかった」とミスマッチによる早期離職の原因となりかねません。
③応募があったら早めに面接
求職者が複数の企業へ同時に応募するのはよくあるケースです。優秀な人材が他社へ流れてしまわないためにも、応募があったらできるだけ早く面接の日程を設定しましょう。
④面接前のリマインドで面接辞退を防止
求職者のなかには、学業の合間でのアルバイトを求める学生や、家事や育児をしながら働きたい主夫や主婦などイレギュラーが発生しやすい状況の人もいます。また、面接の日時を聞き逃したり、忘れてしまったりすることもあるでしょう。
面接前に連絡してリマインドをすることで、都合が悪い場合は面接日程を再調整、面接を迷っている求職者に対しては意思の確認をすることができます。
⑤教育・研修についても詳細な説明が必要
採用後の教育・研修にかかる時間や、試用期間の給与についての説明も必要です。
とくに、試用期間と本採用時の時給の差がある場合、説明が不十分では求職者が不信感を持ちます。
⑥仕事の面白さ、やりがいをイメージしてもらう
面接の際、業務内容や労働条件などを説明するだけでは仕事の面白さややりがいは伝わりづらいものです。自社で働いて感じられる仕事の醍醐味や面白いエピソード、身につくスキルなどを伝えると、求職者は入社後をイメージしやすくなるでしょう。働くことへの動機付けができれば採用辞退や早期離職の回避につながります。
⑦合否の連絡は迅速・丁寧に
合否の連絡が遅いと、連絡が早かったほかの応募先に求職者が流れてしまいかねません。結果が出たらできるだけ早く連絡しましょう。
これから一緒に働く仲間として、丁寧に接することも大切です。連絡時のコミュニケーションが雑だったり、威圧的だったりすると、求職者が不安を抱きます。新しいことを始めるときはだれもが不安なものです。丁寧な連絡と話し方を心がけましょう。
アルバイトの定着率には人間関係やシフト、休日の希望が影響する
採用した人材にはできるだけ長く働いてほしいものです。アルバイトの定着率をあげるためにも、従業員が職場に何を求めているのかをみてみましょう。
辞める理由は「人間関係」
離職理由によくあげられるのは職場の人間関係です。厚生労働省の調査では、「職場の人間関係が好ましくなかった」という回答が多く、とくに男性では45~49 歳、女性は30~34歳の年代に多い結果となりました。
せっかくアルバイトを採用しても、職場の雰囲気や人間関係が悪い場合は定着率があがりません。従業員が良好な人間関係を構築できるよう、社内マニュアルの整備や労働環境の改善に取り組む必要があります。
(出典:「-平成 29 年雇用動向調査結果の概況-」)
定着の理由も「人間関係」と「シフト」
反対に、従業員が定着している理由でもっとも多いのも人間関係です。
中小企業庁委託事業の調査によると、従業員が定着している中規模企業が行った施策の上位に“職場環境・人間関係への配慮”があがっています。
職場での人間関係を円滑にするため、勤務シフトの編成や人員配置を最適化することを検討しましょう。
(出典:中小企業庁「2019年版「中小企業白書」」)
シフトへの不満を解消し、長期就労につなげる
シフト制勤務は、人間関係を考慮した人員配置ができる、柔軟な勤務時間で働けるといったメリットがありますが、シフトに対する不満が溜まりやすいという側面もあります。従業員の希望をすべて反映できなかったり、急な欠勤の穴埋めが容易でなかったりと要因はさまざま。シフトの編成は、あらゆるケースを想定して作成することが大切です。
シフト編成は、スマートフォンやパソコンで簡単にシフト申請ができるクラウドサービス“シフオプ”がおすすめです。
従業員の希望シフトは管理画面に集約されるため、シフト管理者は全体を見ながら人員を配置することができます。
また、急な欠勤などでスタッフが足りなくなった場合、“ヘルプ機能”ですべての従業員に応援の要請ができ、前後のシフトに入っている従業員が時間外労働でカバーするといった事態も防ぐことができます。
シフオプは系列店との連携にも対応しているため、店をまたいだ人員配置も可能です。
まとめ
今回は求職者の求めている条件や企業が改善するべきポイントについて解説しました。
「やっと採用して、仕事を覚えてもらって、一人前になったと思ったら辞めてしまう……。」このような状況の繰り返しで、徒労感に襲われているマネージャーや店長も少なくはないでしょう。
採用を決める前から、求職者と企業の間でギャップが生まれないように心がけ、採用後はミスのないシフトを作成して、風通しのよい職場環境にしましょう。
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