
人手不足の地域格差。地方都市が人手不足に陥る理由とは
売り手市場の時代になり、雇う側より雇われる側が企業を選ぶ時代になってきました。
「求人倍率は高いのに採用率は上がらない」といった人手不足の傾向は全国的に見られますが、とくに地方都市が顕著にあらわれています。なぜ、地域格差があるのかを紐解き、人手不足を解消するために企業はどのように取り組んだらいいのか考察します。
地方の経営課題の多くは“人手不足”
中小企業基盤整備機構が全国の中小企業の経営者を対象に行ったアンケートによると、全業種で70%を超える企業が人手不足を感じているという結果でした。
とくに地方では人手不足が顕著で、内閣府の調査では2012年以降、各地域で有効求人倍率はアップしているものの雇用に結びつかないことも判明しています。地域や業種によってもばらつきがあるほか、一部の企業に求職者が集中したり、募集しても応募すらない企業があったりと、地方の人手不足は容易に解決できる問題ではありません。
(出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「人手不足に関する中小企業への影響と対応状況」、内閣府「地域の経済2018 第1章 第1節 人手不足感の地域ごとのばらつき」)
地方創生に取り組む企業と“人手不足”が経営課題に
人手不足を感じている企業のなかには、現状打開のために“地方創生”を掲げているところもあり、国も後押しをしています。
“中途採用等支援助成金”の“UIJターンコース”は、東京圏から“地方創生推進交付金”と地方公共団体の移住支援事業を利用したUIJターン者を採用した企業が、採用活動に要した費用の一部に対して助成を受けられるものです。
しかし、人手不足の解消がままならず、経営課題に人材獲得をあげている企業も少なくありません。
(出典:厚生労働省「中途採用等支援助成金(UIJターンコース)」)
なぜ地方が人手不足になるのか
有効求人倍率が高くなっているにもかかわらず、地方で進んでいる人手不足。
2008年をピークに少子高齢化が続き労働人口が減っているという根本的な問題もありますが、東京近郊といった都市への転入が増え続けているといった背景があります。
総務省の行った地方公共団体を対象にしたアンケートによると、若年層の流出の要因は、“良質な雇用機会の不足”によると約90%が答えています。東京近郊への転入超過は23年連続しており、地方の人手不足は進み続けていることが伺えます。また、現在の情報化社会も人手不足に陥る要因として挙げられます。
情報を取り入れやすくなった社会が雇用の妨げに
人口の減少や東京一極集中型だけが問題ではなく、人手不足にはほかの要因も考えられます。たとえば、企業の情報です。
最近ではインターネットの普及によって情報の閲覧が簡単になりました。企業の公式ホームページだけではなく、SNSや口コミサイトといったWeb上からも企業の裏側を知ることができる情報化社会。働いている人の本音や口コミまでダイレクトに入手できます。
求職者はあらゆる情報を集め、吟味したうえで複数の会社を比較し、応募するようになりました。地方の場合、このような売り手市場に対して適切なアプローチができていない企業の多いことが問題ともいえます。
採用条件の見直しやWeb面接など、“採用の柔軟化”が重要に
雇用機会の損失を防いで人材を獲得するために、採用条件の見直しや面接の形態を変更している企業もあります。
インターネットで応募が可能になり、遠方の人のためにWeb面接や動画面接など新しい方法を取り入れている企業もあります。
ほかにも、フルタイムだけでなく柔軟な勤務形態を取り入れている企業もあります。働き手の立場を考えた採用方法や、雇用形態を推進することで人を集める工夫が必要です。
重要なのは職場環境の改善
採用方法を工夫するだけではなく、従業員が働きやすい環境をつくることも重要です。企業は、労働条件や雇用条件といった労務コンプライアンスの理解を深め、給与や福利厚生など待遇面で改善できることはないか、検討しましょう。
離職率を抑える企業のあり方
人手不足の解消には、採用強化とともに、従業員の離職率を抑える取り組みも同時に進めていく必要があります。離職率を抑えるには、離職する理由を理解しておきましょう。
以下、従業員が離職する理由の例です。
- 休みが取りにくい
- 勤務体制の融通が利かない
- 労働基準法の違反
- 業務内容がはっきりしない
- 社員同士のコミュニケーションがない
- 教育制度やフォローがない
- さまざまなハラスメントがある
- 評価や待遇の不満など
企業にとって、離職率が高くなるとさまざまな問題が発生します。増大する採用や教育コスト、会社の組織力や従業員のやる気の低下、取引先や顧客から信用を失う、定着しない会社と認識されることで次の採用が困難など、キリがありません。
とくに、厚生労働省の調査でも労働時間や休日、深夜作業等が問題視されています。そもそもの人手不足が原因だとしても、企業は従業員にとって働きやすい環境を整えなければ離職率を抑える方法はないといえるでしょう。
労働条件の是正をシステムで管理
人手不足を解消するには、職場環境や労働条件の改善が必要です。そのためには、コストを見直し、従業員が働く日数や時間管理も徹底しなければなりません。
しかし、「扶養の範囲内で働きたい」「曜日によって時短勤務にしたい」など、従業員にもさまざまな要望があります。一人ひとりの事情に合わせて従業員の時間管理を行うことは容易ではありません。このようなときはシステムを活用することが問題解消の糸口になります。
シフト管理システム“シフオプ”なら、さまざまな時間帯のシフト作成はもちろん勤務時間・シフト時間・人件費の計算や労務コンプライアンスまで、さまざまなフォロー機能が整っています。人手不足を解消する第一歩として、職場環境の改善のために労働時間の管理からはじめてみるのもよいでしょう。
まとめ
政治や経済だけでなく“人材”という資源が東京をはじめとする大都市に集中し、地域格差は広がっています。長期的な人口減少や人手不足が続くなか、地方の企業は“地方創生”に向けて、さまざまな取り組みが急務だといえるでしょう。
新たな人材を確保するためにも、今いる人材の定着化をはかるためにも、職場の環境改善と業務の効率化は必要な対策です。
人手不足のなか、効率よく人材を管理しコストを抑えるために、シフオプの導入を検討してみてはいかがでしょうか。