
人件費の適正な割合とは? 是正するための3つの対策
※2023年12月7日更新
人件費は、経営上で重要になる経費の一つです。安定した利益を確保しながら長期的な成長を目指すには、人件費を適正に管理する必要があります。
特にシフト制を導入している現場では、時間帯や曜日によって忙しさが変動することがあります。そのため、売上に対してどれくらいの人件費を投入できるかを把握したうえで、予算に応じた人員配置を行うことが重要です。
シフト管理担当者のなかには、「売上に対してどれくらいの割合で人件費を確保すればよいのか」「人件費の割合を下げるにはどのような手段があるのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、人件費の種類や一般的な割合、適正な割合に是正するための対策について解説します。
人件費とは
人件費とは、事業活動で発生する経費のうち、従業員に関わる費用を指します。経費のなかでも大きな割合を占めているため、経営判断においても重要な指標です。
人件費の種類
人件費に含まれる費用には、以下が挙げられます。
▼人件費に含まれる勘定項目
- 給与や賞与、残業手当、役職手当
- 通勤手当
- 役員報酬
- 法定福利費
- 福利厚生費
- 退職金 など
従業員の支払う給与・手当のほかに、法定福利費や福利厚生費も人件費に該当します。法定福利費とは、企業に負担が義務づけられている費用のことです。従業員の社会保険料や雇用保険料などの費用を企業が一部負担することになります。
福利厚生費は、従業員の健康促進やワークライフバランスの維持、モチベーションの向上などを目的とした福利厚生のための費用を指します。例えば、健康診断や借上社宅、社員旅行、特別休暇などにかかる費用が挙げられます。
人件費として計上する従業員範囲
人件費として経費に計上するのは、企業が直接雇用している従業員に対する給与や手当となります。従業員の範囲には、正社員のほか、契約社員、アルバイト、パートタイマーなどが含まれます。
派遣社員においては企業が直接雇用していないため、“外注費”や“人材派遣費”“雑給”などの勘定科目を用いることが一般的です。
人件費の割合を測る指標
自社の人件費が適正かどうかを分析する際に、人件費の割合を見る必要があります。人件費の割合を測る際に用いられる指標には、主に“売上高人件費率”と“労働分配率”の2つが挙げられます。
どちらも数値が高くなるほど人件費が多くかかっている状態となり、利益を圧迫していることが判断できます。
一方、売上に対する売上高人件費率や労働分配率が低すぎる場合には、従業員への還元が十分にできていない、あるいは人員が不足しているなどの可能性が考えられます。
業種や企業の規模などによって適正な人件費の割合は異なりますが、一般的な割合に対して大幅な差がある場合には、人件費の投入額を見直すことが重要です。
売上高人件費率
売上高人件費率とは、売上高に対して人件費が占める割合のことです。一般的に“人件費率”と呼ばれるのは、この売上高人件費率に当たります。
売上高人件費率を算出することで、「人件費が利益を圧迫していないか」「売上を確保するために十分な人件費を投入できているか」を測ることが可能です。
▼売上高人件費率の計算式
売上高人件費率(%)=人件費(円)÷売上高(円)×100
売上高には、売上原価や売上総利益(販売費や営業利益)などが含まれます。また、適正な売上高人件費率は業種によって異なりますが、一般的な平均値は5~60%とされています。
▼一般的な売上高人件費率
業種 |
売上高人件費率 |
卸売業 |
5~20% |
小売業 |
10~30% |
飲食業 |
30~50% |
サービス業 |
40~60% |
建設業 |
15~30% |
製造業 |
10~50% |
労働分配率
労働分配率とは、企業が生み出した付加価値額に対する人件費の割合のことです。
付加価値額は、生産活動で生み出された価値(利益)のうち、外部で調達した原材料や外部資源などの費用を差し引いた額を指します。例えば、原価5,000円の製品を加工して6,000円で販売した場合の付加価値額は、1,000円となります。
労働分配率を算出することで、事業活動の生産性を測ることが可能です。
▼労働分配率の計算式
労働分配率(%)=人件費(円)÷付加価値額(円)×100
労働分配率は、業種や企業の規模によって異なっており、全産業での平均は2021年時点で65.1%となっています。
▼業種別の労働分配率
画像引用元:内閣官房『賃金・人的資本に関するデータ集』
▼企業規模別の労働分配率
画像引用元:内閣官房『賃金・人的資本に関するデータ集』
出典:内閣官房『賃金・人的資本に関するデータ集』
人件費の増加を是正する3つの対策
人件費の割合が平均値よりも大幅に上回っている場合には、生産性を高める取り組みや人員調整を行い、人件費を削減することが重要です。
ただし、人件費を削減し過ぎると「売上を得るための活動に人手が足りない」「業務が回らず残業で対応するしかない」「従業員へ利益が還元されず、モチベーションが低下する」などの問題につながる可能性があります。売上や従業員のモチベーションを考慮したうえで、適正な人件費へと見直すことがポイントです。
①業務の効率化を図る
人件費を削減するためには、業務の効率化を図ることが不可欠です。
業務が非効率になっている場合、生産性の低下や残業時間の増加につながり、人件費にも負担がかかります。
業務の効率化を図ることで、残業によって発生する残業手当の負担を削減できます。また、時間や労力がかかっていた業務の作業方法・フローなどを見直したり、アウトソーシングを導入して生産性を向上させることで、少ない人員で対応できるようになる可能性もあります。
▼業務を効率化する方法
- 業務内容やフローを整理して作業方法を見直す
- 新しいツールやシステムを導入して、作業スピードを向上させる
- ノンコア業務にアウトソーシングを利用する
- 紙媒体で対応していた業務のペーパーレス化を図り、二重入力や手動での計算、書類管理などの作業をなくす
②時間帯・曜日ごとに必要人員数を把握する
人件費の増加を防ぐには、時間帯・曜日ごとに必要な人員数を把握して、余剰・不足人員が発生しないようにシフトを組むことが有効です。
特にサービス業では、時間帯・曜日によって忙しさが異なるケースがあります。例えば飲食店の場合、平日の昼食や夕食の時間帯には客数が見込め、それ以外の時間には客入りが落ち着くと予想されます。
時間帯・曜日ごとの売上や業務量を確認して必要な人員数を把握することで、以下のような人員調整ができるようになります。
▼時間帯・曜日ごとに人員調整を行う例
- 土日や祝日にスタッフを多めに配置する
- 客入りが少ない時間帯のスタッフを減らす
- 短時間の勤務シフトを導入して、忙しい時間帯にスタッフを増員する
これにより、余剰人員の発生を防げるほか、手待ち時間の増加による人件費の損失も抑えられるようになります。
過去の繁閑状況に応じて平日・休日・連休などのモデルシフトを用意しておくと、各時間帯・曜日に応じて人員を割り当てやすくなります。
③時間単位で人件費を計算する
シフトの人員配置を行う際は、時間単位で人件費を計算することも重要です。
忙しさが時間帯によって変わる現場において、1日単位や半日などの大まかな時間単位で人件費の予算を計算すると、「必要な時間に人員が足りない」「人員が余剰していて仕事がない」という過不足が生まれやすくなります。
売上から逆算して月次・日次の人件費予算を設定したあとは、1時間単位や30分単位などの細かい時間単位で「売上を確保するためにどれくらいの人員数が必要か」を考えて、人件費をコントロールする必要があります。
人件費の管理にはシフト管理システムの活用が有効
人件費の負担を抑えて適正化を図るには、シフトを作成する際に人件費の計算や予算に応じた人員調整ができる体制づくりが求められます。
そこで役立てられるのが、シフト管理システムの『シフオプ』です。シフオプは、オンラインでシフトの収集・作成・共有を行えるシステムです。人件費の管理に役立つ機能が備わっており、予算に応じた人員配置を行えます。
▼人件費の管理に関するシフオプの機能
- 売上予算を登録して人件費率を算出する
- 売上予算や実績を踏まえたモデルシフトを作成する
- 人員の過不足状況や人件費予算を見ながらスタッフを手動で割り当てる
- 時間帯別の人員数を見ながら、投入するスタッフを調整する
「人件費を考慮したシフト管理が難しい」「手動での計算が大変」という方は、シフオプの活用がおすすめです。そのほかの機能については、こちらをご確認ください。
まとめ
この記事では、人件費について以下の内容を解説しました。
- 人件費の概要
- 人件費の割合を測る指標
- 人件費の増加を是正する3つの対策
- 人件費の管理に役立つシフト管理システム
人件費は、経費のなかで多くの割合を占めており、人件費の負担・損失が大きくなると企業の利益にも影響する可能性があります。
業種・企業規模での人件費の平均値と比べて大幅に差がある場合には、生産性を高める取り組みや、売上予算と繁閑状況に応じた人員配置の見直しを行い、人件費の適正化を図ることが重要です。
また、シフトに対する人件費の計算や予算に応じた人員配置を効率的に行うためには、シフト管理システムの活用がおすすめです。
『シフオプ』は、売上予算に基づいた人件費の計算やモデルシフトの作成などの機能が備わっており、人件費を踏まえた人員配置を効率的に行えます。どの時間帯にスタッフが余剰または不足しているのかを可視化して、細かな人員調整を行うことで、人件費の増加を防げます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。