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高校生アルバイトの雇用ルールとは。成人と違う点に注意

※2025年3月28日更新

飲食店やコンビニエンスストアなどでは、成人だけでなく高校生のアルバイトが活躍している職場も見られます。

高校生アルバイトも企業にとって重要な働き手ですが、未成年が勤務できる時間や業務内容などは『労働基準法』を始めとする各種法令によって制限されています。労使間のトラブルを防ぐためには、雇用ルールを正しく理解することが重要です。

この記事では、高校生アルバイトを雇う際に雇用主が負う義務や制限、注意点について解説します。

なお、アルバイトの雇用時における労働基準法の規定についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  アルバイトに適用される労働基準法。企業担当者が知っておきたい規定とは 労働基準法は雇用形態に関係なくすべての労働者を対象とすることから、正社員だけでなくアルバイト・パートにも適用されます。この記事では、アルバイトを雇用する際に知っておきたい労働基準法の規定と法令に基づいた労務管理のポイントについて解説します。 シフオプ


出典:e-Gov法令検索『労働基準法


目次[非表示]

  1. 高校生アルバイトに対する雇用主の義務
  2. 高校生アルバイトの雇用に関する制限
  3. 高校生アルバイトを雇用する際の注意点
  4. 高校生も働きやすいシフトを作成するには
  5. まとめ


高校生アルバイトに対する雇用主の義務

高校生をアルバイトとして採用する際、雇用主には年齢や保護者の同意を確認する義務が生じます。また、解雇後の帰郷旅費についても法令で定められています。


年齢確認を行う【労働基準法第56条・57条】

高校生アルバイトを雇用する場合、雇用主は年齢確認をしたうえで、年齢に応じた対応を行う必要があります。


▼労働基準法第56条・57条

(最低年齢)
第五十六条 使用者は、児童が満十五歳に達した日以後の最初の三月三十一日が終了するまで、これを使用してはならない。
② 前項の規定にかかわらず、別表第一第一号から第五号までに掲げる事業以外の事業に係る職業で、児童の健康及び福祉に有害でなく、かつ、その労働が軽易なものについては、行政官庁の許可を受けて、満十三歳以上の児童をその者の修学時間外に使用することができる。映画の製作又は演劇の事業については、満十三歳に満たない児童についても、同様とする。
(年少者の証明書)
第五十七条 使用者は、満十八才に満たない者について、その年齢を証明する戸籍証明書を事業場に備え付けなければならない。
② 使用者は、前条第二項の規定によつて使用する児童については、修学に差し支えないことを証明する学校長の証明書及び親権者又は後見人の同意書を事業場に備え付けなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


満15歳に達してから最初の3月31日が終了していない児童については、一定の条件を満たさない限り雇用できません。条件を満たした場合も、学校長の証明書と親権者・後見人の同意書を事業所に備えつける必要があります。

また、18歳未満の年少者の場合には、年齢を証明する戸籍証明書を事業所に備えつけることが求められます。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法


保護者の同意書を確認する【民法5条】

18歳未満の未成年者を雇用する場合、保護者の同意書を確認する必要があります。

民法5条では、未成年者を保護する目的で法律行為に制限を設けています。そのため、雇用においても保護者の同意書がなければ契約を行えません。


▼民法5条

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。

引用元:e-Gov法令検索『民法


出典:e-Gov法令検索『民法


解雇後の帰郷旅費を負担する【労働基準法第64条】

18歳未満の従業員が解雇後14日以内に帰郷する場合は、雇用主が帰郷に必要な旅費を負担するように定められています。


▼労働基準法第64条

(帰郷旅費)
第六十四条 満十八才に満たない者が解雇の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。ただし、満十八才に満たない者がその責めに帰すべき事由に基づいて解雇され、使用者がその事由について行政官庁の認定を受けたときは、この限りでない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


ただし、本人の故意・過失などによって起きた事故を理由とする解雇で、行政官庁からの認定を受けている場合は例外となります。

出典:e-Gov法令検索『労働基準法



高校生アルバイトの雇用に関する制限

高校生アルバイトの雇用においては、労働時間や勤務時間帯、業務内容・場所などにさまざまな制限が設けられています。また、親権者に関連した労働契約の制限もあります。


法定時間外労働の制限【労働基準法第60条】

18歳未満の高校生アルバイトは、法定時間外の労働が制限されます。

労働基準法では労働時間の上限として、一週間に40時間、一日に8時間の法定労働時間を設けています。ただし、労働基準法第36条に規定された協定を結ぶことで上限を超えて働けるようになっています。


▼労働基準法第32条・36条

(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
(時間外及び休日の労働)
第三十六条 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、厚生労働省令で定めるところによりこれを行政官庁に届け出た場合においては、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


しかし、18歳未満の場合は、労働基準法第60条によって同法36条が適用されないため、法定労働時間を超過した労働をさせることはできません。


▼労働基準法第60条

(労働時間及び休日)
第六十条 第三十二条の二から第三十二条の五まで、第三十六条、第四十条及び第四十一条の二の規定は、満十八才に満たない者については、これを適用しない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


出典:e-Gov法令検索『労働基準法


勤務時間帯の制限【労働基準法第61条】

18歳未満の年少者は、午後10時から午前5時までの時間帯における労働が制限されています。


▼労働基準法第61条

(深夜業)
第六十一条 使用者は、満十八才に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない。ただし、交替制によつて使用する満十六才以上の男性については、この限りでない。
② 厚生労働大臣は、必要であると認める場合においては、前項の時刻を、地域又は期間を限つて、午後十一時及び午前六時とすることができる。
③ 交替制によつて労働させる事業については、行政官庁の許可を受けて、第一項の規定にかかわらず午後十時三十分まで労働させ、又は前項の規定にかかわらず午前五時三十分から労働させることができる。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


ただし、使用形態や地域などによって時間帯の制限は変動します。


業務内容・場所の制限【労働基準法第62条・63条ほか】

18歳未満の高校生アルバイトを雇用する場合、業務内容や働かせる場所に制限があります。


▼労働基準法第62・63条

(危険有害業務の就業制限)
第六十二条 使用者は、満十八才に満たない者に、運転中の機械若しくは動力伝導装置の危険な部分の掃除、注油、検査若しくは修繕をさせ、運転中の機械若しくは動力伝導装置にベルト若しくはロープの取付け若しくは取りはずしをさせ、動力によるクレーンの運転をさせ、その他厚生労働省令で定める危険な業務に就かせ、又は厚生労働省令で定める重量物を取り扱う業務に就かせてはならない。
② 使用者は、満十八才に満たない者を、毒劇薬、毒劇物その他有害な原料若しくは材料又は爆発性、発火性若しくは引火性の原料若しくは材料を取り扱う業務、著しくじんあい若しくは粉末を飛散し、若しくは有害ガス若しくは有害放射線を発散する場所又は高温若しくは高圧の場所における業務その他安全、衛生又は福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。
③ 前項に規定する業務の範囲は、厚生労働省令で定める。
(坑内労働の禁止)
第六十三条 使用者は、満十八才に満たない者を坑内で労働させてはならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


労働基準法だけでなく、『年少者労働基準規則』や『健康増進法』などさまざまな法令によって未成年者の労働に制限が設けられています。


▼未成年者が制限される業務の例

法令

未成年が制限される業務内容

労働基準法第62条

有害物や危険物を取り扱う業務、高温や高圧の現場での業務 など

労働基準法第63条

坑内における業務

年少者労働基準規則第7条

重量物を取り扱う業務

年少者労働基準規則第8条

危険な装置を扱う業務、酒席に侍する業務、遊興的接客業 など

健康増進法第33条

喫煙専用室に立ち入る業務

健康増進法第35条

喫煙目的室に立ち入る業務

e-Gov法令検索『労働基準法』『年少者労働基準規則』『健康増進法』を基に作成


高校生アルバイトを雇用する際には、自社業務において未成年を使用できるか、事前に確認しておくことが重要です。


出典:e-Gov法令検索『労働基準法』『年少者労働基準規則』『健康増進法


親権者による労働契約の制限【労働基準法第58条、59条】

未成年の就業に際して、親権者や後見人が本人に代わって労働契約を結ぶことは禁止されています。

また、賃金についても、親権者・後見人が代わりに受け取ることはできません。未成年であっても自らが独立して賃金を請求できます。


▼労働基準法第58条・59条

(未成年者の労働契約)
第五十八条 親権者又は後見人は、未成年者に代つて労働契約を締結してはならない。
② 親権者若しくは後見人又は行政官庁は、労働契約が未成年者に不利であると認める場合においては、将来に向つてこれを解除することができる。
第五十九条 未成年者は、独立して賃金を請求することができる。親権者又は後見人は、未成年者の賃金を代つて受け取つてはならない。

引用元:e-Gov法令検索『労働基準法


出典:e-Gov法令検索『労働基準法



高校生アルバイトを雇用する際の注意点

高校生アルバイトを雇用する際には、法令だけでなく校則や各種保険についても注意が求められます。また、学業との両立を意識することも重要です。


校則でアルバイトを禁止している高校がある

雇用について法令上の問題がなくても、高校の校則でアルバイトを禁止している場合があります。

アルバイトを禁止している高校の生徒を雇用する場合、学校に見つかって退職してしまう可能性が考えられます。雇用側にとっても突発的な人手不足のリスクにつながるため、校則について事前に確認しておくことが欠かせません。


条件を満たせば社会保険の対象になる

高校生アルバイトは、一定の条件を満たしていれば健康保険・厚生年金保険や雇用保険に加入する必要があります。なお、労災保険に関しては、高校の課程や労働条件を問わずに加入が必要です。


▼高校生アルバイトが社会保険の対象となる条件

保険の種類

条件

健康保険・厚生年金保険

  • 1日または1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上
  • 月の所定労働日数が正社員の4分の3以上

健康保険・厚生年金保険
(休学中もしくは夜間のみ)

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上(残業や通勤手当などは含まれない)
  • 2ヶ月を超える雇用の見込みがある

雇用保険

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上ある
  • 雇用期間の見込みが31日以上ある
  • 昼間学生でない


休学中の学生もしくは夜間学生の場合、どちらかに該当していれば社会保険の加入対象となります。

アルバイト・パートの社会保険についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  アルバイト・パートが社会保険の加入対象となる要件と注意点 社会保険は、正社員に限らず、アルバイト・パートとして雇用する従業員においても一定の条件を満たしている場合に加入する義務があります。この記事では、社会保険の種類や2024年10月から拡大される社会保険適用の加入対象、各保険制度の加入要件、労務管理上の注意点について解説します。 シフオプ

出典:厚生労働省『高校生等のアルバイトの労働条件に関する自主点検表』『社会保険適用拡大ガイドブック


学業と両立可能なシフトを組む

法令の範囲内であっても、学校生活に支障が出るようなシフトは避けるように配慮することが大切です。高校生アルバイトは、時期によっては受験前やテスト期間、部活の試合など、学校生活を優先させたい場合もあります。

時期に応じて休み希望を叶えられる環境を整えておくと、高校生がアルバイトを続けやすくなり、雇用側としても人手の確保につながります。



高校生も働きやすいシフトを作成するには

高校生アルバイトには規定が多いことから、安心して働ける職場にするには、労働基準法に沿ったシフト管理が欠かせません。

シフト管理システムの『シフオプ』では、労務リスクをともなうシフトを検知して警告する機能が搭載されているため、労務管理のサポートが可能です。

例えば、高校生が22時以降あるいは1日8時間を超えてシフトに入っている場合には警告が表示されるため、シフト作成段階で未然に労務違反を防止できます。

また、シフオプでは、高校生アルバイトから申請された希望シフトを管理画面で確認できます。希望シフトを確認しながらシフトを組めるため、学校生活を妨げないシフト作成が可能です。



まとめ

この記事では、高校生アルバイトの雇用について以下の内容を解説しました。


  • 高校生アルバイトに対する雇用主の義務
  • 高校生アルバイトの雇用に関する制限
  • 高校生アルバイトを雇用する際の注意点
  • 高校生も働きやすいシフトを作成するシフト管理システム


高校生アルバイトを雇用する場合、雇用主は法令に規定されたさまざまな義務や雇用ルールを守ることが求められます。また、学校の校則や学業との両立についても配慮する必要があります。

法令を守ったうえで高校生が働きやすいシフトを実現するには、シフト管理システムの導入が有効です。

シフト管理システムの『シフオプ』は、シフトの収集・作成・共有を行えるクラウド型のシステムです。シフトの作成・調整を円滑に行うための豊富な機能が備わっています。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

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