
時短勤務とは? 法律で定められた勤務制度と対象者
企業には、ワークライフバランスの確保や多様な働き方を選択できる魅力ある職場づくりに向けて、働き方改革への取組みが求められています。
そうしたなか、多様で柔軟な働き方を実現するための選択肢として、“時短勤務(短時間勤務)”という勤務制度が法律によって策定されています。
労働者の希望に応じて育児や介護などと両立できる環境を整備するために、時短勤務について理解を深めたいという人事・労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
この記事では、法律で定められた時短勤務制度の内容と対象者、時短勤務のメリット・デメリットについて解説します。
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時短勤務とは
時短勤務とは、1日の労働時間を短縮する勤務制度のことです。
時短勤務の導入は、『育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(育児・介護休業法)』の第23条第1項によって事業主に義務づけられています。
▼育児・介護休業法第23条第1項
第二十三条 事業主は、その雇用する労働者のうち、その三歳に満たない子を養育する労働者であって育児休業をしていないもの(一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるものを除く。)に関して、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の申出に基づき所定労働時間を短縮することにより当該労働者が就業しつつ当該子を養育することを容易にするための措置(以下この条及び第二十四条第一項第三号において「育児のための所定労働時間の短縮措置」という。)を講じなければならない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないものとして定められた労働者に該当する労働者については、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
三 前二号に掲げるもののほか、業務の性質又は業務の実施体制に照らして、育児のための所定労働時間の短縮措置を講ずることが困難と認められる業務に従事する労働者
引用元:e-Gov法令検索『育児・介護休業法』
時短勤務制度は、育児や介護などでフルタイム勤務が難しい労働者が仕事との両立を図れるようにすることが目的とされています。
事業主は、時短勤務制度を設けるとともに、対象者の待遇について定めたうえで労働者に周知しておくことが重要です。
以下では、育児と介護のための時短勤務制度について解説します。
出典:e-Gov法令検索『育児・介護休業法』
育児のための時短勤務制度
育児をする労働者については、1日の所定労働時間を原則6時間に短縮する時短勤務制度が設けられています。
ただし、原則6時間ですが、職場の所定労働時間に応じて柔軟に設定することも認められています。
▼勤務時間の設定例
- 所定労働時間が7時間45分の職場で、1日の労働時間を5時間45分に設定する
- 原則6時間の措置を設けたうえで、1日の労働時間を7時間に設定する
- 原則6時間の措置を設けたうえで、隔日勤務して所定労働日数を短縮する
なお、いずれの時間短縮措置も、労働者の希望に応じて選択肢を増やすことが望ましいとされています。
出典:厚生労働省『育児・介護休業法のあらまし』
介護のための時短勤務制度
家族を介護する労働者については、連続3年以上の期間において、所定労働時間・日数を短縮する措置を講じる必要があります。
1日または週の所定労働時間を短縮したり、隔日勤務を導入したりする措置のほかにも、以下のような措置が挙げられます。
▼介護のための勤務措置
- フレックスタイム制度の導入
- 始業・就業時刻の繰り上げ・繰り下げ
- 介護サービス費用の助成やこれに準ずる制度の導入
出典:厚生労働省『育児・介護休業法のあらまし』
時短勤務の対象者
育児・介護休業法で定められた時短勤務の対象者には、一定の要件が定められています。
育児をする労働者の場合
育児を目的とした時短勤務の対象者は、3歳に満たない子を養育する労働者です。また、以下の要件すべてを満たす必要があります。
▼労働者の要件
- 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
- 日雇い労働者でないこと
- 時短勤務制度が適用される期間に育児休業を取得していないこと
- 労使協定によって適用除外とされていないこと
なお、要件4の適用除外となるのは、以下のような労働者が該当します。
▼労使協定の締結によって適用除外となる労働者
- 入社1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
- 業務の性質・実施体制に照らして、時短勤務が困難と認められる業務に従事する労働者
出典:厚生労働省『育児・介護休業法のあらまし』
介護をする労働者の場合
介護を目的とした時短勤務の対象者は、要介護状態にある家族の介護をする労働者です。
ただし、育児をする労働者と同様に、日雇い労働者や、労使協定で適用除外とされた労働者については、対象とはなりません。
▼労使協定の締結によって適用外となる労働者
- 入社1年未満の労働者
- 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
出典:厚生労働省『育児・介護休業法のあらまし』
時短勤務のメリット・デメリット
時短勤務を導入する事業主側のメリット・デメリットには、以下が挙げられます。
メリット
事業主側のメリットは、以下のとおりです。
- 離職の防止
- 従業員満足度の向上
- 企業イメージの向上
時短勤務を導入することで、育児や介護をしながら働き続ける選択が可能となるため、離職の防止につながります。また、育児や介護などの時間に余裕が生まれることで、ワークライフバランスが向上して、従業員満足度の向上も期待できます。
このように、仕事と生活を両立できる職場は、女性活躍推進や男性の育児参画に力を入れている企業として、イメージの向上にもつながりやすくなります。
デメリット
時短勤務を導入するデメリットには、以下が挙げられます。
ほかの労働者と不公平感が生まれる可能性がある
収入・キャリアに関するトラブルが起こる場合がある
時短勤務の導入によって、これまでと仕事の量や質が変わる場合には、ほかの労働者の負担が増えてしまい、不公平感が生まれる可能性があります。
育児や介護をする労働者に限らず、上司・部下・チーム全体など、ほかの労働者の負荷も考慮しながら、業務量を調整することが大切です。
また、勤務時間が短縮することで収入が減ったり、キャリアアップの機会を得られなかったりすると、労働者とのトラブルにつながるおそれもあります。
時短勤務を利用する労働者には、労使間で十分な話し合いのもと、給与や昇給・昇格制度についても取り決めておくことが重要です。
まとめ
この記事では、時短勤務について以下の内容を解説しました。
- 育児・介護休業法で定められた時短勤務制度
- 時短勤務の対象者
- 事業主側のメリット・デメリット
時短勤務は、労働者が育児・介護と仕事を両立できるようにするために、所定労働時間を短縮する勤務制度のことです。
時短勤務の対象者には一定の要件が定められているため、日頃から適切な労務管理を行っておくことが重要です。
シフト管理システム『シフオプ』は、職場の労務管理にも役立ちます。育児・介護に伴う時短勤務を導入する場合にも、対象者の労働時間を管理するとともに、全体の人員過不足を踏まえて人員調整を行えます。
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なお、法令で定められたアルバイトの勤務時間については、こちらの記事で解説しています。